このお話しに登場する人物紹介
・ | 船頭 | (身長2mの豪傑巨漢船頭、カジキやらせたら世界一!) |
・ | ディーン | (デッキハンド、SWFの専門家、過去に世界記録あり) |
・ | ブレンデン | (デッキハンド、やはりSWFはすごい。とても気のいいやつ) |
・ | アメリカ人 | (ボートをチャーターした釣り師、でも今回はただの脇役) |
アメリカのフライマンが客として乗った3月のベタ凪のある日、90KG位のマカがティーザーを追い始め手前に寄せてフライ(6KGティペット)を投げたらめでたく喰ったそうです。瞬間全員、何度目かの<世界記録>の4文字が目の前にぶら下がりディーンはすぐにギャフを握ったそうです。
マカはというとその後ボート後方下45度に10m程走り、何故かストップ。全員はマカが頭を右左にシェイクしていたのを見たそうです。ここまではみんな一応冷静。
そして、誰もが予想していた通り一気に浮上そしてジャンプ------のはずがそこはあの世界に名だたるスーパー船頭です。すでにボートは移動してマカの頭上にあり、また、すでに頭のテンパッてるディーンはギャフを持ってあの4文字を待ってます。
マカはやはり悲しいかな生来持って生まれた習性通りジャンプ!!
そこを待ってましたとばかりディーンのギャフがとぶっ!! そしてかかる〜っ!!
しかし、いくら巨体(体重100Kg)のディーンとはいえ90kgのマカも負けてはいません。ここは死ぬか生きるかの瀬戸際。最後の力を振り絞り再度"緊急浮上"ジャンプ!!
生涯最後になるであろう10点ジャンプは華麗さ極まり高さもバッチリ〜ッ。しっしかし、マカの着水と同時にあろうことかなんとディーンもボート外着水!!
そしてマカは水面を全速力!!
ディーンの巨体は水面にて滑走状態に入り、水上スキーのごとく、はたまた全開のジョーズに引っ張られている巨大浮きのごとく高速水泳。その間、50m!! 6kgティペットのドラグパワーなんかどこえやらだ。
ただでさえギャフで重い荷を背負わされているうえにディーンを引っ張るマカは我に返り作戦変更そしてなんと、潜行開始だあ。
ベタ凪の静かな海面をボートのディーゼルエンジンのアイドリングの静かな音だけが残り、ディーンの消えた水面1点のみを唖然と見つめる船頭、ブレンデン、そして釣り師。
待つこと数秒。この時間がまた長い。
そして、切れたロープから解き放たれた巨大浮き、いやディーンだ!! 今度はディーンの緊急浮上だ!!
冷えたビールの一口目の後のように、久しぶりの新鮮な空気を味わうかのようなディーンの深呼吸の音が数回海面に響き渡る。しかし、なんと手ぶらだ。
マカとギャフは水中深く、フライラインは力なく水面を漂う。
ボートがバックしてすぐにディーンを拾う。
豪快に高笑いする船頭、マカを逃がしたことをからかうブレンデン、世界記録級を逃がして悔しがるディーン。
しかし、ただ一人まだ唖然としている釣り師は-----
" こいつらいったいどういう奴らだ! アホか!? " -------といったとか言わないとか。
以上、友人のポートスティーブンスにいるブレンデンからの楽しいレポートでした。